放射温度計は物に接触することなしに対象物の温度を測定する際に役に立つ温度計です。測定するものの 表面から放出される熱放射を光センサでとらえて測定するため、零度以下の低温から 3000 ℃に至る高温までの広い温度範囲が測定できます。放射温度計は、家庭でも日常生活に深い関係を持っています。家庭で使われるものはシンプルなものが多く、例えば、お風呂の温度、お茶お入れるときのお湯の温度、調理時の食材の温度、エアコンの吹き出し口の温度、そして100℃前後になる配管の温度などを測定するために使われています。また放射温度計は、ガラスの製造工場や鉄鋼プロセスなどの製造現場でも使われています。もちろんこうした現場で使われるものはもっと高度で複雑なタイプのものです。
放射温度計が定期的に校正が必要な理由
放射温度計は国際的な品質保証規格のISO9000で決められているように、一般的には、年に1回の校正が必要となります。もちろんISO9000順守の明記がなければ、それぞれの判断に寄るわけですが、温度計自体も使っているうちに摩耗し、何かの思わぬ事態により、正しい値を表示しなくなることがあります。そうした理由から校正が必要となりますが、それが意外と難しいのです。
最も一般的に行われている校正方法は、国家基準に基づいてトレーサビリティが確認されている標準器を使う方法です。また、標準黒体炉から発生する熱放射を赤外放射温度計により測定する方法もあります。この場合は、白金抵抗温度計と赤外放射温度計を比較して校正を行います。校正をする際には、以下のことがポイントになります。
放射温度計の校正をおこなうためのポイント
(a) 放射温度計はレンズ又は、ミラー光学系が組み込まれている単視野放射温度計であること
(b) 8~12 µmの測定波長域において、主要な測定感度が確認でき、大気を吸収することから来る影響が低減されていること
(c) 放射温度計出力は、輝度値もしくは温度値で表し、温度換算出力の分解能が0.02℃以 下であること
(d) 放射温度計内部や周囲環境の温度変動に対して、それをモニターし、出力し、補正をすることが可能であること
(e) 特定二次標準器の校正周期の間、また、特定二次標準器の校正から校正事業者による作業標準である校正を実施するまでの期間において、放射温度計が十分な安定性と再現性を有すること
以上が、放射温度計の校正の概要及びポイントになりますが、生活や仕事に便利な放射温度計を高い精度を保ちながら長期間に渡って使うためには、このような校正が欠かせません。
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